DT社の、いわゆる『ラチェット』(旧称スターラチェット)のパテントが切れたこともあり、今や多くのハブ/ホイールメーカーが同じ(もしくは類似した)ラチェット機構を採用しています。
※ラチェット(ratchet):後輪スプロケット(フリー)部分に入っている、一方方向にだけギヤが掛かる機構です。ホイール1回転のうちに、何回カチカチと噛み合うかが“T”で表記され、一般的に純正品だと18~36Tぐらいがスタンダード。たとえばDTハブを採用しているrovalのロードホイールは36Tです。
そしてこのDTラチェット互換品も中華メーカーから各種出回っていて、しかもさまざまな歯数が安価に用意されているんですよ。
コレは(使い物になるなら)役立つかもと思って60Tを個人的に購入して使い始めてみました。

左のシルバーがDT純正ラチェット。右の金色がラチェット互換品。
接触面の鋸刃状ギザギザが、それぞれ36Tと60Tなので、細かさが違いますよね。
そして中華ラチェットはチタンコートがされていて一見すると高級感漂います!

真横から見たところ。山の細かさが違いますね。
ここで、ラチェット数の違いによる、メリットデメリットを整理しておきましょう。
ラチェット数が多くなるとともに
⭕️ペダリングを開始する際の掛かりが早くなる。コーナー立ち上がりや障害物を乗り越える瞬間にその差が現れる
⭕️たくさんの歯同士が噛み合うので、ペダリングのエンゲージメントがよりしっかりする
✖️ひとつひとつの歯が小さくなるので、強度的に弱くなる
✖️歯先の滑る角度が大きくなるので、ペダルを止めて『シャー』と惰性走行する際の抵抗が大きくなる
一般的に、タイヤ外径が大きく細かなペダルの踏み直しが多いオフロード系ホイールでは細かなラチェットが用いられ、オンロード用では少なめという傾向でしょうか(ちなみにDTでもオプションで54Tラチェットが用意されています)。

ということで、60Tラチェットに入れ替えて、ペダリングの掛かりが良いぜと喜んで乗っていたんです(写真はイメージです)。音だって、それまでの《シャーーー》が《チーーー》になってるし!
ところが、入れ替えホイールを使ってまもなく5回目ぐらいのツーリングにて悲劇が起こりました。
千葉・鴨川の激上り20%グラベルを上っているときに、段差超えでペダルをフンッて踏み込みながら前輪を上げた瞬間、バキッと良からぬ音がして、ペダルが掛からなくなったんです。
最初はチェーンが切れたかと思ったのですが、、、止まって確認しても異常なし。スプロケットの歯先だって欠けていません。
ところがそこから先、弱くペダリングする分にはちゃんと進むのに、200Wを超えてペダルを踏むと、ババババキッて感じで歯飛びを起こすような症状が。。。
しばらく騙し騙し走っていたものの症状は悪化するばかりで、歯飛び症状も200→190→180Wへ。もうコレじゃどうにも上れませんよ。

コレはラチェットが怪しいと思い、山の中でフリーボディを外してクリーニング。
うんっ? なんかグリスに金属片が混ざっているぞ?
とりあえずは、ペーパーウエスで古いグリスを金属片ごと拭い取り、そっと組み直して走り出すと、、、ちゃんと走れる! よかった!

ひとまず山では事なきを得ましたが、帰宅後にラチェットを確認するとラチェットの歯先が欠損しているではないか! しかも両側2個とも!
そして、この欠損金属片が歯の間に入り込んでしまいペダリング時に咬まなくなっていたのでしょう。
幸いにも、手元にペーパーウエスがあり(←コレはTLRタイヤのパンク用に携帯していました)、ラチェットが怪しいと目星をつけて分解できる知識があったので走って帰ってこれましたが、人によっては人里離れた場所でペダリングができなくなっていたはずです。
そして現時点では安価な中華ラチェットはこういうリスクがあるという勉強でした。
このあたりの内部部品は、やはり純正に勝るものはないということなのでしょう。何より安心というギャランティを得られることになります。もちろん私も純正品に戻しました!
TEXT:スタッフ・カブ
