【SPECIALIZED新モデル】
All New “TARMAC SL9″発表!!
−重量・価格・SL8との違いを徹底解説–
世界最速のオールラウンドバイクはさらに進化した。

遂に発表された、TARMAC 9世代目、SL9
「変わっていない。」
新型TARMAC と思われる画像が流れた時、SNSではそんな声を多く見かけました。
「ほとんどSL8じゃない?」
「思ったより変化が少ない。」
「マイナーチェンジかな?」
実際、公式に発表された後もそう感じた方は多いと思います。
正直に言えば、私も最初はそう感じていました。
TARMACらしいシルエットはそのまま。
BB周りやリア三角、他ブランドのレースバイクと比べると細身な設計は健在。
横から見た印象だけなら、大きく変わったようには見えません。
しかし、その印象は実車を見た瞬間に覆されました。
さらに試乗し、開発プレゼンテーションを聞き終えた今、私はこう断言できます。
直接見るまでは、このバイクの本当の価値は分かりません。
Tarmac SL9は、これまでのSL8を否定するモデルではありません。
SL8という完成形をベースに、軽量性・乗り心地・ハンドリングという長所を一切犠牲にすることなく、
さらに空力性能を磨き上げた一台です。
この記事では、正式発表に合わせて公開されたスペックだけでは分からない「実車を見て感じたこと」「試乗して感じたこと」も交えながら、新型TARMAC SL9を解説していきます!
S-WORKS TARMAC SL9
スペック
フレーム重量:687g(塗装済・56サイズ・RTP)
フレームセット価格:880,000円(税込)
完成車価格:1,980,000円(税込)
完成車重量:約6.6kg(56サイズ)
UDH対応
フレームセット:10色🌈
完成車:RED AXS ×3色 / DURA-ACE Di2 ×1色🌈
★カラー画像を貼る
【★メーカー公式スペック表・ジオメトリ表・ラインナップを掲載】
54サイズ限定で以下のような変更が入っていますがそれ以外のサイズはSL8までと同じ。
✅ ヘッドチューブ +3mm
✅ ヘッド角 73°→72.5°
✅ Trail 58→62mm
✅ Reach to Stem +2mm
✅ Stack to Stem +3mm
54サイズではこれまで問題として上がっていたトークリアランスを確保。
TARMAC SL9は何が変わったのか

最初に結論から言います。
「全てが変わっています。」
ただし、それは見た目を大きく変えるという意味ではありません。
フォーク
ヘッドチューブ
トップチューブ
シートチューブ
シートポスト
そしてリア三角のフィン
一つひとつを見れば確実に新設計ですが、全体のシルエットは前作までのTARMACらしさを引き継いでいます。
しかしこれは「変えることができなかったのではなく、変えた結果、もう一度この形に辿り着いた」
私はそう感じました。
(ここについてはVol.2で掘り下げます。)
SL8との主な違い
UDH対応

今回からTARMACシリーズとして初めてUDH(Universal Derailleur Hanger)に対応しました。
これによりSRAM RED E1 XPLRなどのフルマウントリアディレイラーにも対応。
もちろん従来のSHIMANO Di2やSRAMロードコンポーネントも、UDHハンガーを介してこれまで通り使用できます。
今後のコンポーネント進化も見据えた設計になっている点は、大きな安心材料と言えるでしょう。
フォーク

今回実車を見て最も印象に残ったのはフォークのボリュームでした。
画像では少しブレードの幅が広くなったぐらい、某社のエアロロードバイク程のボリュームは無さそう。
という印象になるかと思いますが、実際は想像以上にボリュームがあります。
しかし、ただ太くしたわけではありません。
正面から見ると、むしろ厚みは抑えられています。
前面投影面積を減らしながら、空気をよりスムーズに後方へ流すための形状へ進化しています。

また、この変更に伴い、ハンドル切れ角も最適化されました。
大きくハンドルを切った際にフォークとダウンチューブが接触しないよう、約80°付近でストッパーが効く構造になっています。

見た目だけでは分からない部分ですが、エアロ性能を突き詰めた結果、生まれた構造と言えるでしょう。
ヘッドチューブ

上記の変更に合わせてもう一点、ヘッドチューブも左右2mmずつくびれを大きくした為前面投影面積を10%減らせています。
また、このシェイプにより内部のホースクリアランスがなくなってしまったのを
変わった形状のコラムやフル内装にすることなく面白い方法で解決しています。

そう、ステアリングコラムが途中まで少しずれているのです。
これは製品不良ではありません。コラム径などを変更せずにエアロダイナミクスを向上させるための工夫です。
トップチューブ

横からの画像では分かりにくかった部分ですが、実車を見ると印象が大きく変わります。
真上から見るとトップチューブはSL8より明らかに幅広く、平たく、エッジの効いた造形へ進化しています。
一見するとSL7やVengeを思わせるデザインですが、実際には全く別物。
ヘッドチューブからトップチューブへ流れるラインはこれまで以上に自然で美しく、
空気がそのまま流れていくような完成度になっています。
この部分は写真だけではなかなか伝わりません。
ぜひ実車で見ていただきたいポイントの一つです。
新しいリアフィン

今回もっとも話題になっている変更点が、シートチューブとシートステーを繋ぐ新しいフィンです。
一見すると剛性を高めるための構造にも見えます。
しかし、その目的は違います。
これはダウンチューブ側にボトルを1本装着した状態で、空気を剥離させずシートチューブ側へ綺麗に流すための空力デバイスです。
つまり、プロレースでいうと逃げの場面。メインボトル以外を捨てて少しでも身軽な状態で走っている時。
こんな状況趣味乗りには関係無い?
日本こそ、ボトル一本で望むレースやたくさんのコンビニ/自販機で都度補給できるので1本しかボトル持たない
なんていうケースが多くなるんでは無いでしょうか?

さらに真上から見ると、この部分はあえて凹ませることで必要以上にカーボンを追加しない構造となっています。
つまり、
空力性能は向上。
重量増は最小限。
乗り心地も維持。
この三つを同時に成立させています。
エアロシートポスト

新型シートポストも大きな進化です。
画像だけでは「少し太くなったかな」という印象でしたが、実物を見るとフレームとの一体感が非常に高く、後方へ空気を綺麗に流すための造形であることがよく分かります。

ライダーの脚を抜けてきた空気が、バイクに触れる空気の中で最も流速が速い。
それをいかに受け流すか。その結果がこの部分のみの超薄型化です。
そして驚いたのは重量です。
従来のSL8用シートポストより約10g軽量。
空力性能を向上させながら軽量化まで実現している点に、SPECIALIZEDらしい設計思想を感じました。

ここまで読むと、
「かなりエアロロード寄りになったのでは?」
と思う方も多いかもしれません。
しかし試乗してみると、その印象は大きく変わります。
SL8で高く評価された軽快な走りや乗り心地はそのまま。
それでいて、速度が乗ってからの伸びには確かな違いを感じました。
その試乗インプレッションと、「なぜSPECIALIZEDはこの形に辿り着いたのか」という設計思想については、Vol.2でさらに詳しく掘り下げていきます。
▶ Vol.2:「『変わっていない』は勘違いだった。SPECIALIZEDがTarmac SL9で本当に目指したもの」
著者プロフィール
小川 海里(かいり)
生年月日:1999.06.08
出身地:高知県高知市
スポーツ経験:小学校 サッカー/中学校 陸上(短距離)/高等学校 サッカー
東京サイクルデザイン専門学校 3年制卒
