今回はドロッパーシートポストを導入したという極めて先進的なお客様のロードバイクのご紹介です。

ミラノ・サンレモでプロロード選手が世界のトップレベルのレースで、MTB用だと思われていたドロッパーシートポストを採用し、その利点を100%活用して優勝をかっさらい世界に衝撃が走りました。
そして自他共に認めるアーリーアダプターの某氏からすぐに注文が入りまして、パーツ供給受難の時代ですがようやく完成しました。
▶︎ サドルに体重を載せて手元のボタンを押すと50mmシートが下がります。これにより下りの安定感を得られます。
▶︎ そして腰を浮かせながらボタンを押すとシートは元の位置に戻ります。
■コンテンツ■
ドロッパーシートポストとは
具体例:Specialized S-WORKS Aethosに装着する場合
Reverb AXS XPLRドロッパーポストをDi2のロードバイクで使うには
まとめ
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ドロッパーシートポストとは?
サドルを装着する”シートポスト”ですが、走行中にボタンまたはレバー操作によって5〜10cm程度下げる事ができるパーツです。
そのメリットは、主にペダリングをしない時にサドルが低くなることにより
①重心が下がって安定する、
②足付き性が良くなり安心感がある、
③下りなどでサドルが従来の位置にないことにより大胆な体重移動がしやすくなる、
④空気抵抗を削減できる、
などが挙げられます。
デメリットとしては、
重量増(〜500g程度)
フレームとの相性(丸シートポストのフレームのみに対応)
ワイヤ・スイッチ類取り回しの煩雑さ
などが挙げられます。
特にロードバイク(ロードレーサー)は無駄を徹底的に省いて速さを追求したバイクなので、重量増を上回るメリットはないと考えられていました。そんな中で、『ミラノ〜サンレモ』という格式高い世界トップレベルのレースで優勝者がそのメリットを活かして勝利したというのがエポック・メイキングな出来事でした。
当該レースレポート(SPORTSコラム&ニュース)
https://news.jsports.co.jp/cycle/article/20190310222656/
具体例:Specialized S-WORKS Aethosに装着する場合
依頼主はS-WORKS Aethosのオーナーさん。これは27.2径の丸シートポストなので、対応したドロッパーポストがあります。
しかし、問題はS-WORKS Aethosは電動コンポ専用フレームなので、通常のワイヤ引きで操作するドロッパーシートポストは採用できません(フレームを通してもハンドル側にワイヤ出口がありません。
※Aethos Expert / Pro / Compモデルは機械式コンポ対応でワイヤの出口があるので問題ありません!
それでは選択肢は無線式のROCKSHOX(SRAM傘下です)Reverb AXS XPLR ドロッパーしかありません。はい、採用。
しかし自分好みの自転車組んで楽しむのって、意外と難しい事が多いんです。
Rreverb AXS XPLRはSRAMのコンポーネントであれば好都合なんです。
AXS ETAPは、左右一つずつのボタンにシフトアップ・ダウンが割り当てられ、同時押しでF変速します。2つのボタンで3つの動作を司るという、非常に合理的な設計。
そしてドロッパーを装着する≒主な使用はオフロード→得意のFシングル&ワイドレンジの12速、という前提の商品のようです。
(シフトボタンが付属していないんです😭)
その組み合わせであればF変速は不要で、左右同時押しをドロッパー操作に割り当てる!というのが非常に合理的な王道の使い方です。
これで見事にデメリットで3番目に挙げた点は解消されます。
ところが、今回の案件はSW Aethos x シマノDi2という組み合わせ。ワイヤ引きドロッパーは使えないし、Di2のシフトボタンではドロッパーを操作できません。
そこで別売りのETAP対応のシフター(ボタン)が必要になります。
ただ、このシフターは完全にMTB利用(フラットハンドル)想定なので、ドロップハンドルにスマートに装着・操作は難しいです。
やりたい事:愛車のロードバイクにドロッパーポストをつけたい
一見パーツ集めてシート交換すれば終わる内容かと思いきや、バイクの仕様により互換性の問題を解決するのがなかなか難しいんです。
しかし、難しいから『できません』とは極力言わないのがRX BIKEであり、メカニックCUBです。
Reverb AXS XPLRドロッパーポストをDi2のロードバイクで使うには
詳しい方は”AXS Wirelss Blips”があるやん、と思うかもしれませんが、なんとAXS Wirelss BlipsはReverb AXS XPLRには対応していないと、、、

今回用意したのはこちらのAXSボタン。
ただしご覧の通り、MTBなどのフラットバーに装着して親指でシフトする前提ですね。ロードのドロップバーにどうやって装着するんだ、、、
メカニックのCUBにお任せください。

ドロップハンドルのフラット部分にクランプで取り付けると上ハンというポジションを一つ殺すことになってしまうので、ハンドル・ステムの真ん中に装着して、上ハン持つのに邪魔にならない場所で、かつ上ハンから親指で押せるポジションに取り付けることにしました。

穴を開けるのは最小限に抑えたいので、ボルト留め+タイラップにしました。

こんな感じに仕上がりました。
ドロッパーを作動させる(下げる)局面ではブレーキレバー周辺を握っている事が多いのは事実ですが、この大きさのボタンをドロップ部分に邪魔にならないように設置するのは難しいと判断してこの位置に決まりました。

そんなわけで、本案件は当初想定以上にハードルが色々ありましたが、無事に完成しました。
まとめ
丸シートポストのロードバイク・グラベルバイクでドロッパーシート導入をお考えのお客様、是非RX BIKEにご相談ください。
機能性は高いけど重量増がネックとなりますが、もともと超軽量なAethosならドロッパーポストを装着しても重いバイクにはなりません。
Aethos(SW以外)であればワイヤ引きドロッパーも使用できますので、導入コストはグッと下がります。
Aethos(SW含む) x SRAM ETAP(Fシングル)のお客様にはReverb AXS XPLRがベストマッチです!
現時点で一番スマートなのは、やっぱりSRAMコンポ x Fシングル x Reverb AXS XPLRの組み合わせでシフターにドロッパー操作を割り当てる事だと思います。
今回使用したパーツ:
ROXKSHOX Reverb AXS XPLR 121,000円
ROCKSHOX Reverb AXS シフトボタン(1ボタン)49,500円 ←SRAM AXSでFシングルの場合このパーツは不要です
工賃 パーツ組み合わせ・仕様により異なるので都度ご相談ください。
※なお今回のようなパーツに加工が必要な場合は、メーカー保証が効かなくなるなどの留意点がございますので、それらを踏まえても自己責任でやりたいというお客様にのみご提案・ご対応させていただいております。
RX BIKE
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